Plastic Tree ◆『ネガとポジ』

昨年の6月にリリースされたアルバムです。



彼らの音はモノクロ基調でたゆたいがちな自分の思考にマッチするので、聴いていてかなり心地良いです。
時折りヴィヴィッドな色が紛れ込んでくるかんじも面白いし。



作詞において、僕がすごいなぁと感心してやまないひとが三人いるのですが、そのうちの一人がPlastic Tree(以下、プラ)の有村竜太郎さん。
(あとの二人は、まだ内緒にしておきます)
なんというか、彼のつかう言葉には、湿り気があるんですよね。
内向的な文学少年が呟いてるかんじです。
雰囲気はメランコリックでアンニュイ、そしてときどき垣間見える狂気。
竜太郎さんのちょっとかすれたやさしい声で、それを唄われるとたまらないんですよ。……ふふ。
サウンド面でも、結構イビツで音がつまってて、場合によってはノイジーなのに、ふしぎと隙間を感じるときがあったりして。するする聴けます。
プラのファンにはレトロ趣味なひとや、宮沢賢治中原中也鳩山郁子長野まゆみといったひとびとが好きな人が多いような気がするんですが、これは偶然ではなくて、共通した要素が存在してるんだと思います。



そんな彼らのこの一枚、ぼーっと身を任せると、ゆらゆらあがったりさがったりして、期待通りの気持ちよさです。
あたまふりふりしながら聴いちゃいます。
粒ぞろいな全14曲(僕が持ってるのは初回プレスなので、最後にボーナストラック入っていて、通常より1曲多いです)の中で、気になったのが2曲。
4曲目「スピカ」と、12曲目「アンドロメタモルフォーゼ」。これらの共通項は、夜空とか星とかがモチーフになっていること。
そして、どちらも弦一本のリフから入って、だんだん広がっていくかんじで。ストリングスも入ってます。
「スピカ」は歌詞的にも地上から見上げてるんですけど、「アンドロメタモルフォーゼ」はもう、宇宙空間に解き放たれるかんじです。
徐々にクレッシェンドしていく幅がすごくひろくて、ずーっと鳴ってるリフが気持ちよくて、最初のサビのところで星が散らばる真空の闇に ふわっ と放り出される。
あとはもう、宇宙遊泳気分です。……レコ発ライヴに行く機会を偶然得て、この曲ナマで聴いたんですけど、プラの宇宙からしばらく帰って来れませんでした。
意識も霧散して、起きてるのか寝てるのか……
アウトロでフェイドアウトしていって、レコードが終わるみたいにプツってギターが止む、それでやっと目が覚めます。
大袈裟だと思うでしょう?それがもう、全然ですから。
嘘だと思ったら、聴いてみてください。笑




ネガとポジ

ネガとポジ

【番外】 コミックのオビ

友達のblogに、「最近のコミックの表紙はオビのことを考えた構図の絵が増えた」みたいなことが書いてあった。
なるほどなぁと思ったわけです。

もっと前から書籍ではそういうことが起きていたけども、たしかにコミックにもそういうパターンが見られるようになった。

惜しむらくは、インターネット上の画像だと、オビまで読めないこと。
本屋に行かなきゃ。


http://d.hatena.ne.jp/mm12/20071212/1198031396

齊藤薫 ◆ 『「美人」へのレッスン』

目を通したのは「24 履歴書と面接」だけだったが、読み易くて興味深い文章だった。
言うならば僕は“履歴書を送る人間”の側で、齊藤さんをはじめとする“履歴書を見る人間”の視点でものを考えたことはなかったし、人事担当者は企業利益を第一に冷徹な目で膨大な量の履歴書をふるいにかけているのだとばかり思っていた。
イメージ的には、七三分けの眼鏡男性が「いる!」「いらない!」ってバサバサやってるような……(さすがにそれはないだろ、と自分でも思う)
ところがこれを読んで、採用者側も人間なんだという至極当たり前のことに気づかされたのだ。

齊藤さんは就職情報誌に求人を出した際、とても苦労していた。
まず送られてきた大量の履歴書から面接に呼ぶ人を選ぶのに四苦八苦。
面接をやったらやったで……

人には、人の数だけ魅力ってものがあるんだと、この時ほどそれを痛感したことはない。そして、それぞれが必ず持っている魅力を、たとえ“アシスタント募集”という名のもとにも、他人が評価したり順位づけしたり、はたまた「採用、不採用」なんて決められるものではないのだということを思い知ったのだ。( 齊藤薫 『「美人」へのレッスン』 p.215 l.15〜)


……というような調子。
でもなるほどそれはその通りだと思ったし、この人間くさいかんじに共感を覚えた。
結局、採用の決め手となったのは、精神のバランスの良さが表れた“顔”と、面接での別れ際の“あいさつ”。この基準もとてもユニークだった。

これから就職先を探す身として、「採用者も人間である」ということを、自分を落ち着けるために、そして面接などの際に人間として基本的なマナーや気遣いを忘れないためにも、念頭に置いておきたいと思う。


「美人」へのレッスン (講談社+α文庫)

「美人」へのレッスン (講談社+α文庫)

LM.C ◆ 『 Bell the Cat 』

まずLM.Cについて。
Aiji(Gt.)とmaya(Vo.)によるユニットで、売り文句は“新世紀型Electrock”。
生音アリ、打ち込みアリで、POPでありながら作り込んだ世界を聴かせてくれます。
アニメ「家庭教師ヒットマンREBORN!」のOPとかやってたこともあるので、そういうと分かる方もいるんじゃないかと。
サウンドもPOPですが、ルックスもPOP。いわゆるV系なお二人ですが、固定概念をぶち壊して、ふだんはV系聴かない人でも取り込んでいけるような、間口の広さを持ってます。



初めてこの曲を聴いたのは音源化する前、ライヴ会場で。
とにかくイントロの部分に、いい意味で衝撃を受けました。
「これが最近よく聞く“jazzy”ってやつにちがいない」
なんかもう、踊れ!と言わんばかりのメロディーだなと。
一気にテンションあがりました☆



今回音源になって歌詞を見ると、額面通りにとれば“飼い猫が犬を小馬鹿にしつつ独白してる”かんじなんですが、『Sentimental PIGgy Romance』(こちらもLM.Cの曲です)同様、別の意味の可能性も探れそうな印象です。
一匹狼しながら、上の人に対して調子よく振る舞う輩を冷めた目で眺めてるけど、自分も体制下から抜けきれない、みたいな。
そう言えば、今回初めて、一人称が女の子ですね。「あたい」ってのがうまい言葉選ぶなぁと。これもmayaクオリティ。彼の歌詞は毎回、すげぇなぁと思いながら見ております。



音の面では、また新しい一面を見せてくれたなぁと感じました。
僕としては、さっきも書いたように、もうとにかくイントロのリフがすきです。
この部分の着うたがあったら、ダウンロードしたいくらいに。笑




余談ですが。
この曲、PVも個人的にかなりぐっときました。
LM.Cは映像も凝ってるので、毎回たのしみにしてるんですが、今回も期待に応えてくれました☆
あと。
ヘビロテしたお陰で、次回のライブではあの複雑な手拍子がやっとできそうです。笑


Bell the CAT(初回盤)[DVD付]

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